東京高等裁判所 昭和28年(う)1648号 判決
被告人 八幡彌三郎
〔抄 録〕
一、第一点について。
貸金等の取締に関する法律第一条に、「この法律は、貸金業等の取締を行い、その公正な運営を保障するとともに不正金融を防止し、もつて金融の健全な発達に資することを目的とする」と規定し、その他同法各規定の全趣旨に鑑みると、同法第二条第一項にいわゆる貸金業を行うとは、反覆して行う意思の下に同条所定の金銭貸付等を行う場合を汎称し、その貸付を受ける相手方が貸主と予て親交ある間柄なりや否や又利率や貸付期限が類似するや否や等の事項は此の観念の成否を左右すべき性質のものではない。而して本件においては、被告人が成規の貸金業者ではないのに、原判決添附の別表記載の如く昭和二四年七月一日から昭和二十五年六月二九日までの間前後六回に亘り高浜敏雄ほか二名に対し一回に一万円から一五万円程度で合計金四五万円を貸付け、利息を合計金九八、〇〇〇円徴したことは原判決引用の証拠によつて明らかである。斯る状況の下においては、前敍の法意に照し、所論のように右借主等と被告人との交際程度や貸付条件等の如何に拘らず右貸付行為を包括的にみて同法にいわゆる貸金業を行つたものと認めるを相当とする。故に原判決が被告人の右所為に対し同法第一八条第一号第五条を適用処断したのは法令適用上誤りはない。論旨は理由がない。
二、第二点について。
一般に、反覆して行う意思の下に行われた数個の同種所為を営業犯的一罪として認定する場合には、結局法律的には一罪の成立を認めることに帰するのであるから、これに対する公訴時効は、右一罪に包含される最終の所為の終了時から起算するを相当とする。故に右の様な営業犯的一罪を構成する本件不法貸金業所為につき、その最終の所為(原判決添附別表記載第六の所為)ありし昭和二五年六月二九日から起算して、本件起訴ありし昭和二七年一二月二九日までに未だ三年の公訴時効は完成せざるものとして、本件につき有罪の実体的裁判をした原審の訴訟手続には所論のような違法はない。論旨は理由がない。